精神科の限界、被害について
私は、すべての精神医療を否定はしませんが、あまりにも、現場の実態を知らないまま、
受診と服薬、場合により入院をすすめている(それがいいと思っている)人たちが多い現状に、
危機感を持っています。
◆厚労省は、私たち国民のメンタルヘルスについて、不調になった時には、
【早期発見】【早期治療】、そして【早期支援】が必要だとさかんに発信しています。
詳しくは、厚労省のホームページをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/
精神疾患は、国民が誰でもかかりやすい病気だとして、2013年から、日本の5大疾患にも含まれました。
確かに、ストレス社会と言われる現代は、心身の不調や精神疾患になりやすい世の中かもしれません。
ですが、その解決方法が【専門家への相談】。
すなわち【医療へ行く】、または【医療へつなぐ】、
つながったら確実に【薬物治療】が始まり、悪くなったら【入院】する。
必要に応じて、障害者手帳を取得し、【福祉サービスを使う】。
この流ればかりが促されていることを、私たち市民は、もっと疑った方がよいと、思います。
なぜなら、【結果が出ていない】からです。
ここからは、データ画像を使って解説します。
スマホで見てるみなさま、見づらかったらすみませんm(__)m
まず、精神疾患の診断がついている人の数は、増え続けています。
そして、精神障害者保健福祉手帳の交付数は、わずか15年(1997-2012)で、なんと7倍に増加。
(約10万人から70万人)この増え方、おかしくないですか。
ですが、同じデータを見て、ある精神科医の重鎮さんは、勉強会でこう言い放ちました。
【たくさんの埋もれていた患者が、治療につながったから、数が増えているのだ】
【私たちの取り組みの成果が出ている】
【もっといるはずだ。もっと増やさなければ】
・・・??? マジで言ってるの?
同じデータを見て、ここまで良いように解釈できるって、恐ろしいですね ( ゚Д゚)
100歩譲って、その理由で増えているのだとしても、
きちんと治していれば、こんなに急激に、精神障害者の認定を受ける人は増えないのでは??
障害者認定を受ける(手帳・障害年金)ということは、症状や障害が固定した、ということです。
厚労省は、手帳についてこのように定義しています。
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/3_06notebook.html
抜粋
・・・・
精神障害者保健福祉手帳の等級は、1級から3級まであります。
1級 精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの(概ね障害年金1級に相当)
2級 精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの(概ね障害年金2級に相当)
3級 精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの(概ね障害年金3級に相当)
・・・・
そして、この重鎮Drさんが言うように、
治療されずに埋もれている人、つまり【医療につながらないことで悪化したり自死している人】を心配するならば、
逆に、【医療につながったことで軽症から重症に悪化し、快復できずに障害者になっている人】や、【精神薬の影響により自死や突然死をしている人】のことも十分に調査、検証、対策をする必要があると思います。
少なくとも私は現場で、後者の方が圧倒的に多いと感じていました。
頑張って働いていた人たちや、1人で生活出来ていた人たちが受診後、服薬後にどうなっているのかの、追跡調査だったり、
(快復率、復職率)
突然死してしまった人たちの精神科受診歴や服薬歴の調査(突然死、孤独死は法務省の管轄)、
さらには、最近よく聞く【発達障害】の診断を幼少期にうけて、薬物治療を受けた子どもたちのその後(転帰)の調査など、
調査で明らかにして欲しいことは山ほどあります。
そして、ご存知のかたも多いと思いますが、日本は精神科病床数(入院ベッド数)が世界一多いです。
強制入院も増加しています。
行動制限(身体拘束、保護室使用)も増加。
死亡退院(入院中に亡くなる)は毎月1,800人。
何年も、何十年も、精神科に入院している長期入院の人たちも、たくさんいらっしゃいます。
5年以上の長期入院者は、10万人です。
国や都道府県、市町村や地域、そして精神病院側が、何もしていないとは言いません。
私もその現場にいて、出来ることはやってきました。
でも、結果が出ていない。そう言わざるを得ないのです。
すでに今、精神科にかかっているかたも、そうでないかたも、人ごとではありません。
このような事実があることを知り、入院は極力避けられるよう、普段の生活や対処を工夫したほうがよいと思います。
さらに、
似たような種類のクスリを何種類も何十錠も、一緒に飲むように出す【多剤大量処方】、
正反対の作用がある薬を一緒に飲むよう出す【カクテル処方】、
発達に課題があるとされる子どもに支援よりも治療が必要だからと、下は3歳から始まっている、【子どもへの精神薬処方】。
何年も何十年も服薬させることに疑問をもたず、当たり前のように薬を飲むように促す医療、福祉職。
とにかく、クスリを使い過ぎ、頼りすぎ。
そして、それでよくなるんだ、もしくは飲まないと再発、悪化するんだと過剰に思い込み、
【飲んでいる、飲みすぎている危険性】よりも、【飲まないこと、飲み忘れること】があってはならない、と躍起になる治療や支援。
おかしくないですか?
90年代後半から、精神薬の売り上げは激増。
ここには、製薬会社のマーケティング、広告戦略が入っています。
こころの病気を宣伝して、「クスリを売りたい」人たちがいるのです。
それはとても巧妙で、早期治療や、支援、という名を借りて、入って来ます。
90年代後半から、2000年代は、抗うつ薬を売るための「うつ病」啓蒙キャンペーン、
そしてその後は子どもの、さらに大人の、「発達障害」啓蒙キャンペーンです。
ADHD治療薬の売り上げも、激増しています。
子どものうちから精神薬を飲む子が、激増しています。
まだまだ色んなデータや実情がありますが、とりあえず以上のことから、【結果が出てない】と考えます。
諸外国では、本人を中心とした「社会モデル」でのサポートが中心で、さらに最近では本人の人権に最大限配慮する「人権モデル」にシフトしています。ですが、日本は未だに、何をするにも医師の指示、意見、診断書に頼って決まる、「医学モデル」のままです。
◆受診、服薬、入院をしても良くならず、悪化している人が確実にいるのに、
多剤処方や長期入院、強制入院、身体拘束、クスリに頼りすぎている問題も棚上げにして、
なぜいまだに、医療にかかる、つなぐことばかり、従うことばかり、国も現場も啓蒙しているのでしょうか。
◆もし私が、何も知らずに、心身の不調になってしんどい状況になったら、
医療や福祉職の人たちに、ちゃんと教えて欲しい。
キレイごとばかりではなくって、
この国の精神医療とクスリの問題のこと、
それに従う福祉の問題のこと、
私たち市民の人権のこと。
最初にきちんと説明を聞いたうえで、受診や入院、福祉利用のメリット・デメリットを考えたいし、自分で決めたい。
だから私はソーシャルワーカー、精神保健福祉士として、出来る限り発信していこうと決めました。
だって、現場を、知っているから。
多くの仲間から、被害経験や苦しみを、聞いてきたから。
この国の精神医療は、結果が出せずに限界が来ています。
過剰に介入しすぎて、被害や人権侵害が起きています。
これが、事実なのです。
良心的な精神科医や医療職、福祉職もいることは知っています。
診療報酬や制度などの、仕組みの問題も大きいです。
でも、何十年、【一部の精神科医がやっていることだ】とか、
【国が制度や仕組みを変えないからダメなんだ】
【難しい問題だよね】
【現場は大変で疲弊しているんだよ】
などと言って、問題を棚上げするんでしょうか。
そもそも、こころの不調を、医療中心(医学モデル)で治せるんでしょうか。
結果よりも被害や人権侵害のほうが大きいじゃないですか。
そして、根本の問題を棚上げにしたまま、【ACT】や【オープンダイアローグ】など、欧米の手法を表面的に取り入れようとする動き、しかも診療報酬の中でやろうとする動きも、
私は疑問です。
さらに実情を知りたい、何とかしたいと思うかたはぜひ、全国オルタナティブ協議会が各地で開催する、【サードオピニオン】や、みつはしの自主講座に、いらしてください。
まずは、知ることからです。私もそうでした。
支援者のみなさんのことは、私が被害連絡会でそうしてもらったように、責めないし、怒りをぶつけることもしません。
一緒に考えたいのです。そして、批判や問題提起をするだけではなく、仲間たちとあらたな取り組みを始めたいのです。
お会いできるのを、楽しみにしています。